年頭のご挨拶(根室農業改良普及センター北根室支所 支所長)
根室農業改良普及センター北根室支所 支所長 志鎌広勝
新年あけましておめでとうございます。組合員の皆様には、希望に満ちた新年を迎えられましたこと、心よりお喜び申し上げます。また、日頃より普及センターに対する皆様のご理解とご協力を頂いていることを心より感謝申し上げます。
昨年は、新型コロナウイルス感染症が2月から道内で猛威を振るい始め全国に広がり、現在に至っております。北海道から始まった臨時休校により学校給食用の牛乳が余り、その後の国の緊急事態宣言により宿泊業や飲食業における需要が落ち込み、一時は廃棄乳の発生が懸念されておりました。また、自粛は組織活動にもおよび、情報交換の場がなくなりストレスの溜まる日々が続いています。しかし、皆様や関係機関の感染予防対策の徹底により、根室管内の感染者は奇跡的な少人数にとどまっており、皆様のご努力に敬意を表します。
昨年を振り返りますと、飼料作物は概ね好天に恵まれ総じて安定した年でした。雪解けが早まり春の耕起始めは平年よりも4日早まり、その後の生育も平年並みに推移しました。しかし、一番草は収穫期に入った6月下旬以降の長雨の影響を受け収穫作業が長引き、収量は確保できたものの品質が劣ってしまったものも多く見受けられ、今後の生産への影響が懸念されます。二番草は再生時期となる7月上旬に降水量が少なく、8月に入っても少雨状態が続きましたが生育は順調に推移し、牧草の年間の乾物収量は平年を10%ほど上回る年となりました。飼料用とうもろこしは、は種作業が早まったものの7月まで生育が遅れ気味に推移しました。しかし、8月以降は生育が回復し、TDN収量は平年に対して10%以上高い豊作年となりました。
畑作は馬鈴薯・甜菜ともに生育は順調で収量は平年より10%ほど高くなりましたが、澱粉価と糖分は若干平年を下回っておりました。野菜は皆様のご努力により害虫の発生も低く抑えられ、販売額は良好と伺っております。
生乳生産は令和2年度の出荷乳量が前年を大きく上回り14万tを超える模様です。出荷農場が一件増え頭数も増加していることもさりながら、令和元年産の粗飼料品質が良く飼養管理の充実が図られたなど、皆様のご努力によるところと思います。
個体販売は、廃用牛、初生雄子牛、交雑種ともに新型コロナウイルス感染症の影響で一時価格が低迷しました。しかし、不要不急の外出自粛などにより道産牛などの家庭向けが需要を伸ばしており価格は持ち直し傾向にあります。交配状況は雌雄判別精液を活用した後継牛の確保が進む中、交雑種における黒毛和種の交配は種雄牛による価格差が見られるデータもあります。経営安定に向けた計画的な後継牛生産と、戦略的な個体販売に向けた黒毛和種の選定をご検討ください。
このような情勢の中、皆様のご努力で生乳、馬鈴薯、甜菜の生産量は第8次地域農業振興計画の最終年となる本年を前にして目標を達成されました。次は基盤となっている家族経営をいかに安定・維持継続させるかになると思います。乳価は100円を超えていますがここ数年の個体販売、肉用牛価格の上がり下がりを考えたとき、新たに投資される場合は必要性と優先順位を今一度ご検討いただきたいと思います。また、各地域で今の特色を残しながら、将来どのような地域にして行きたいかその振興策を地域単位で検討され、第9次計画に反映させてはいかがでしょうか。
普及センターは微力ではありますが、皆様とともに地域振興に向けた活動に取り組んでまいりたいと考えております。
結びに、新型コロナウイルス感染症が落ち着きを見せるとともに、皆様にとって良い一年となりますよう心から祈念申し上げ、また、本年が天候に恵まれ稔り多い年になることを祈念いたし、新年の挨拶とさせていただきます。